i tuneでドリフの往年の名曲『ドリフのビバノン音頭』がかかっていた。私のデスクの上のいつもの光景である。
ふと、その歌詞(というかコント風MC)に聞き入っていると、メンバー全員が「荒井のお歳は49!」と叫ぶ場面があった。
49か……。
そりゃ、けっこうたいへんだわ。その後、早々に脱退したのもわかる。
この時点で志村はまだ正式メンバーではない。
49という年齢に多少の誇張はあったが、この時点(1973年6月リリース)でリーダーのいかりや長介・42歳に対して、その子供や生徒役をこなしていた荒井注は45歳。荒井は「うるせー、俺は無実だー」といつもの「柄悪いキャラ」で対抗しているが、寄る年波と歌詞中に覗かせる「(いかりやに対して)先生だからって、そうポンポン言うなよ。昔は同級生じゃないかよ」という微妙な本音には抗えない。
この構図を見て連想することがある。
横浜ベイスターズのおじさん、工藤公康は来年度から西武ライオンズでプレーすることが決まった。これも荒井注と同じく、現場にも関わらずリーダー(監督)よりも年上。「昔は同級生じゃないかよ」というより、はっきりと、元同じ球団にいた先輩と後輩の関係である。
今、この時代、いくら年齢は関係ないとはいえ、その相対的な関係性として並べてみるとおもしろい。さきほどのドリフターズの例を西武ライオンズに当てはめてみる
と、こうなる。(なお、誕生日の関係などで若干のずれは生じるが、大まかな関係性に違いはないので、細かい年齢の正確さに関してはご容赦願いたい)
工藤公康→荒井注→46歳。
渡辺久信(ナベQ)→いかりや長介→43歳。
これに、さらに他のメンバーを加えてみる。
年齢の相関関係でいくとこの時、志村けんは24歳。この年齢は西武ライオンズでいうと岸孝之である。活きの良さがよくわかる対比だ。
そして、加藤茶は31歳。西武の同じ年はG.G佐藤である。
ふたりとも「濃い」。
仲本工事は33歳。西武の同い年は横浜から移籍してきた土肥義弘。
と、これまた渋いところだ。
意外なところでは、高木ブー41歳。
西武の選手名鑑で眺めるとまったく同じ年というのはいない。
やはり、リーダー(ナベQ&いかりや)のわずか二歳下なので、もはや現役感も希薄なポジションである。
近いところとしては、西口文也が37歳、石井一久が36歳。ふたりともひょうひょうとしたキャラクターだが、まだまだブーの位置では失礼か。
野手では清水崇行が36歳。ただ、やはり、落ち着きを払いながらも、メンバーに「加わっているだけ」という状態になりがちな年齢ではある。(そう考えると楽天のブー・山崎武司・41歳の活躍ぶりはすごい)
しかし、よくよく考えてみるとドリフも球団もめちゃくちゃな歳の人が集まってやっている集団だということがわかる。確かにそういう意味では、芸も野球も、歳なんか関係ない。
でも、一方では縦関係に厳しい社会。
注もQもブーも、そして、最年長のおじさん工藤もたいへんだあ。
改めて私と同じ年の彼に敬意を表して思う。
がんばれ、工藤! 岸に負けるな。監督には気つかえよ-。
ババンババンバンバン♪ ババンババンバンバン♪
またなー。
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2009.11.25
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眼鏡屋に行った。レンズの入れ替えをしてもらった。
メガネ男子とかメガネ女子が流行っているらしい。そういう類の人が集まるイベントの告知なども、なぜか知らないが(笑)、よくうちに回ってくる。
たしかに、ひと頃よりメガネをかけている女子が増えたと思うし、また、素通しのメガネなども、今や当たり前のファッションアイテムなのかもしれない。
しかし、このメガネ問題に関してこう思う。その本人が「メガネをかけていること」を意識した瞬間に「萌え感」は揮発する、と。
「女の眼病みは色っぽいもんだ。そうやって紅絹(もみ)の布で眼を拭いているところなんぞ、つい、むらむらとしてくるからな」
(平岩弓枝「倉の中」『御宿かわせみ』文春文庫)~参考文献/『使ってみたい武士の日本語』野火迅著、草思社刊
昔から、目が悪い女性に関する「萌え」の意識は確立されていて、それは別段新しいものではない。ただ、それはファッションアイテムとしてのメガネうんぬんという話ではなく、「そうやって紅絹(もみ)の布で眼を拭いているところなんぞ」というように、目の悪い女性の涙で湿りがちのうるんだ眼や、文字通りの少しピントが外れた「無防備」な仕草に、男は反応していたのである。
だからメガネがかかってりゃ何でもいいんじゃなくて、実はその反対、メガネしてないから歯ブラシ鼻の穴に突っ込んじゃった、みたいな、当人の意識しない「天然感」にこそ色気を感じる。
私の場合、近年急激に目が悪くなり、クルマの運転に必要なのでかけているが、世の中全部見えればいいかというとそうでもないわけで、酒を飲んでいる時など、うっとうしくなってはずしてしまう。つまり、メガネやクリアな視界、もっと言えばそれを見ている他人の目なんぞはどうでもよく、極力「意識」したくないわけである。
幸い、メガネ外して酔っぱらってても、箸置きに醤油かけて食うほどは悪くないので、大した問題もおきないが、仕事柄ものすごく細かい文字の校正をする時なんぞは、もう死活問題。これは、メガネ男子やメガネ女子がテーマにしているところの近眼問題ではなく、老眼の問題。毎回のレンズ調整もこのせい。つまり、意識したくないと言いながらも、いちいち気になっているのである。
私の知り合いはたまにメガネをかけているのを忘れてメガネの上から顔を洗おうとすると言っていたが、私はまだ、その境地に達したことはない。
人間の視界は衰え、いずれメガネをかけるようになる。
「眼病み女」に「老眼男子」。
イベントになんかしなくてもいい。
無防備なことがコントを生み、意識をしないことに色気が生まれる。
年齢を重ねれば重ねるほど、そういう人に私はなりたい。
では、ハバナイスデイ。
2009.11.21
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いつか出てくるとは思ったが、ついに出てきたイメージコンサルタントという商売。本屋で見つけた『また会いたいと思わせる(とかなんとかのルール)』(一部適当)という本の帯には、美人イメージコンサルタントさんのお姿がでかでかと載っていた。
タイトルにだまされているのは重々承知だが、また怖いもの見たさの感情もあるわけで、本屋で思わず買ってしまい、電車の中で15分で読み終わりあきれ顔。そのあまりのとりとめのなさに口あんぐり……。
このイメージコンサルタントという商売の詳細は私にはよくわからないが、この商売の名前は2000年公開の映画『キッド』(ブルース・ウィリス主演)で初めて耳にした。
この映画の概要をざっと説明してみる。
40歳独身者であるラス(ブルース・ウィリス)の仕事はイメージ・コンサルタント。各界の著名人にイメージ・アップのためのアドバイスをしている。ある夜、ラスは自宅に紛れ込んできた小さな男の子を目撃する。そして、その子供が時空を超えてやってきた昔のラス本人であることを知る。
ガキであるラスは言う。
「40歳になる僕には女の人もいないし、チェルシーという名前の犬も飼ってない。しかも、パイロットじゃないんだ」
「うるせーな、このくそガキ! 早く寝ろ!」(一部創作)
二人で話をしているうちに、ラスは今の自分が子供の頃に抱いた夢をひとつも叶えていないことに気づき愕然とする。そして、子供ラスからのさらなる追い打ち。
「おじさんの仕事はわかったよ。おじさんの仕事は嘘をつくことなんだ」。
言葉を失う主人公……。
そして、子供ラスにもうすぐ訪れる8歳の誕生日が最悪なものであったことを思い出し、ふたりは奇妙な時間旅行を開始する……
と、まあ、こんな感じなのだが、この劇中で使われていた「イメージコンサルタント」という職業は、「最先端の職業で、派手で儲かる知的な商売ともてはやされるけど、どこか空虚な商売」という意味づけであった。
また、この主人公の神経症的セレブリティなキャラクターとそのシンボリックな職業に対し、「さすがアメリカ」という感覚と「どうなのよ、アメリカ」っていうふたつの感覚を同時に感じさせていたのだと思う。
で、その約10年後。ついに日本にも登場。
改めて問う。どうなのよ、イメージコンサルタント(笑)。
人はイメージなどの曖昧なものよりも、加齢臭だとかハゲだとかしみだとか、もっと具体的なものに執心していたはずなのに。どうすれば感じよく見えるか、こうすればあなたは輝けるみたいな精神論なんかより、どうすればハゲがばれないか、どうすればしみが目立たなくなるかみたいな具体的な対処法を求めていたはずなのに……。
フリー(無料)が注目されている今、みんな売るものがよくわからなくなっている。
では、ハバナイスデイ。
2009.11.20
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長嶋茂雄は「匂い立つ」男である。
彼唯一の自伝本とされている本書からは、そんな長嶋茂雄の匂いがむんむんと立ちのぼっている。
私が小学生の時に買ったオリジナル版が文庫化されていたのを発見し、思わず一晩で読破である。30年ぶりの感動。
テレビで見せる晩年のすっとんきょうなミスターのキャラクターしか認知していない女子には到底理解できないと思うが、彼の「燃える男」「山ごもり」「根性」「快打洗心」(長嶋のサインに添えられる有名な言葉)などのキーワードは、ぜんぜん頼まれてもいないのに、自らふんどしの山の中に突っ込んでいくような男としての「心持ち」に溢れている。
「野球はポエムだ」とまで言い放った、ミスタープロ野球の原点がここにある。
ちなみに私の著書『ロックンロール・ダイエット』の第六章「燃えた、耐えた、走った!」は、この本への静謐なるオマージュである。
【燃えた、打った、走った!】(長嶋茂雄著、中公文庫)
ふんどし度 ★★★
(再録)
2009.11.19
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マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』を見に、木場のシネコンまで行った。そこ(深川ギャザリア)にある陳健一麻婆豆腐店で激辛麻婆を食って、その勢いでレイトショーでマイケルを見ようと思ったわけだ。
夕方思い立ち、ETC搭載のクルマで高速道路をひとっ走り。
マイケル・ジャクソンと激辛麻婆豆腐を小ぎれいな湾岸のモールで、って……。
チャリンコで通った駅前の小汚い名画座もマイケル・ジャクソンの『スリラー』も丸美屋の麻婆豆腐も現役で親しんできた世代の私にとっては、この一夜の流れ、なんかとっても2009年的。サイボーグ的笑いのチケットレディとポップコーンのキャラメル味がさらにその思いを強くさせていた。
それにしても、『THIS IS IT』かっこいいね。
みんなマイケルにうるさいからコメントは省略しますが、まだ見てない方はぜひ。
2009.11.18
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