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ふぬけた辛子

「最近の辛子はきかねえんだよ。ガキがひきつけおこすぐらい辛いのが本当の大人の味なんだよ」。

 これは、私の持ち歩いているメモに走り書きされた文だ。
 
 いつだったか、どこかの店に置いてあった辛子があまりにも“ふぬけ”だったので、いつかこのことについて思いっきり“文句”を言ってやろう、鼻がもげるぐらいの辛子で私に挑んでこい! とばかりに、書き付けておいたものだ。

 私の好きな作品『空手バカ一代』(梶原一騎原作、つのだじろう画)に、大山倍達の最初の弟子・有明省吾が、町の納豆売りに向かって「たっぷりカラシをサービスしてくれよな! なにしろうちの先生ときたら辛いものに目がないんだから……」という場面がある。大山倍達の「男の度数」をたっぷりと上げるいい話である。

 そうだ、そうだ。みんなもこの世の中のふぬけた辛子の問題には、一言言いたいに違いない。さあ、文句を言おう。わさびだって、そうだ!

 しかし……、 “事態”は思わぬ方向に向かった。

 ネットでこんな記事を発見したからである。

 味覚:「辛み」「苦み」若者敬遠 好みは「マイルド」、成熟せず成長か

 「辛いもの、苦いものを敬遠する若者が増えているという。すし店では、わさび抜きを注文する若者が目立ち、眠気覚ましのガムも刺激を抑えた商品が発売されている。子どものころから味覚や嗜好(しこう)があまり変わらず、「大人の味」が苦手な若者が増えている」(毎日新聞 2010年2月5日 東京朝刊)らしいのだ。

 なんじゃ、そりゃ。いいのか、そんなことでニッポン男児。

 記事はこう続ける。

「回転ずし「くら寿司(ずし)」を全国展開するくらコーポレーション(本部・堺市)は数年前から、全皿をサビ抜きにし、テーブルに備え付けのわさびを好みで付けてもらう仕組みにした。広報宣伝部の中野浩さんは「子ども連れのお客様からサビ抜きの注文が多く、実験的に数店舗で別添えにした。わさびを使わない人が予想以上に多く、順次、全店に拡大した」と説明する。
 導入後、若い男性のグループ客の一人から「今までは頼みにくく我慢していたが、実はサビ抜きが食べたかった」という反応もあったという。」

 うーん。

 さらに続く。

「辛いものを好まないという東京都練馬区のアルバイト男性(22)は「おすしは大好きだが、わさびを付けると味が変わってしまう。小さいころから慣れた味がいいし、わさびがない方が魚そのものを味わえると思う」。男性はうどんや牛丼に唐辛子を使わず、おでんも「からしをつけない方が、だしの味がよく分かる」が持論だ。」

 何か知らんが、涙ぐむ俺……。

 辛子で真っ黄色のだしは悪なのか。わさびで流す涙はバカの涙だとでも言うのか。

 回らない寿司屋でさび抜きの寿司を食わなければならない時代になったら、私はもう生きていたくないし、辛子抜きのおでんしか食えないのなら、もはや現世に未練などない。

 いったい誰が阿呆なのか……。

 辛子に目のない大山倍達総裁は、もうすでにこの世にはいない。

2010.02.18 | コメント(0) | トラックバック(0) | マンガ的!

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プロフィール

中丸謙一朗

Author:中丸謙一朗
職業:編集者・コラムニスト
1963年生まれ、横浜市出身。立教大学経済学部卒。1987年、マガジンハウス入社。『ポパイ』『ガリバー』『ブルータス』などで編集を手がけた後、独立。著書に『大物講座』(講談社)、『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社・扶桑社文庫)、『車輪の上』(エイ出版)、漫画原作『心理捜査官・草薙葵』(集英社コミックス)など。編著多数。

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