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洗面

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 最近、街のくすり屋さんで、よくこののぼりを見かける。思い切った「言い切り」に思わず微笑みを浮かべてしまう、私の好きな作品のひとつである。

 口臭や体臭はいつの時代にも嫌われ、その人間の価値を一段低く見積もられる。

 曹洞宗の開祖である道元が、宋に留学していた折り、諸寺を回り僧侶に会った際の印象が『正法眼蔵』第五十「洗面」の章に描かれている。

 ~しかあるに、大宋国、いま楊枝たえて(注・絶えて)みへず(注・見ず)。嘉定十六年(1223年)癸未四月のなかに、はじめて大宋に諸山諸寺をみるに、僧侶の楊枝をしれるなく、朝野の貴賤おなじくしらず~(洗面)  ~しかあれば、天下の出家在家、ともにその口気(こうき)はなはだくさし。二三尺をへだてゝものいふとき、口臭きたる。かぐものたへがたし~(洗面)

 その頃の日本では、楊柳の細い材を削って先を房状に切り残したものが、歯ブラシ代わりとなっていた。道元は、その楊枝がここ宋の国ではお目にかかることなく、みんなすごい口臭、たえられまへん、と、そんなことを記している。

 司馬遼太郎の『街道をゆく~越前の諸道』(朝日文庫)によると、「道元は極度に知的な人であった。逆に、そうであればこそ、具体的な日常の規範を重んじた。かれは、「洗面」の中で『法華経』などをひき、僧たるもの、体をきれいに洗い、いつも清潔な衣をつけているべきである、とし、それが仏法の初歩である」としていた。

 大宋国の仏教などと威張り、日本を見下しているが、口臭いくせに……。

 つねに新参者の下位に置かれていた道元が、宋国の僧に対して、このような感情を持ったことを、司馬遼太郎も否定していない。

 「ちゃんと歯磨きなさいよ。汚くしてると嫌われるよ」

 大僧侶の教えも大事だけど、おかんの教えの方がもっと大事である。

2010.06.24 | コメント(0) | トラックバック(0) | マンガ的!

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プロフィール

中丸謙一朗

Author:中丸謙一朗
職業:編集者・コラムニスト
1963年生まれ、横浜市出身。立教大学経済学部卒。1987年、マガジンハウス入社。『ポパイ』『ガリバー』『ブルータス』などで編集を手がけた後、独立。著書に『大物講座』(講談社)、『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社・扶桑社文庫)、『車輪の上』(エイ出版)、漫画原作『心理捜査官・草薙葵』(集英社コミックス)など。編著多数。

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