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書評『グッド・グリーフ チャールズ・M・シュルツと「ピーナッツ」の世界』

 チャールズ・M・シュルツは、あのスヌーピーの生みの親だ。いや、もっと正確に記せば、全米をはじめとして世界各国で40年以上の長きにわたって親しまれてきた漫画『ピーナッツ』の作者である。

 『グッド・グリーフ(なんてこった!)』(チャーリー・ブラウンの口癖)と題されたこの本は、チャールズ・M・シュルツの生い立ちを中心に、『ピーナッツ』の登場人物たちが生まれてきた背景やその時代の空気感などを丁寧に描写している。

 主人公のチャーリー・ブラウンは何をやっても「ふにゃふにゃ」だった。それは、作者の子ども時代のこんな経験が影響しているのかもしれない。

 シュルツはミネアポリスの理髪店のひとり息子として生まれた。

 以下はシュルツの述懐。 「髪を刈ってもらおうとよく父の店まで行ったことがある。私が刈ってもらっている最中に、もし誰かお客が入ってこようものなら、私はすぐに椅子から降ろされる。そして父がそのお客の頭をすませるのを待つんだ。そこに座り、半分虎刈りにされた頭のままで、どんな顔をしていいかわからないような気分でね」

 はるか昔のいかにもささやかなできごと。その当事者の父と子の間だけに起こった小さなドラマ。しかしいかにも何げないそんな小さなできごとをシュルツはいまでも忘れることができない。(本文より)

 作者はチャールズ・M・シュルツの創作の背景を見事に描き出す。

「『ピーナッツ』を見れば、おかしみとは悲哀から生まれるもので、幸福からではないということがよく分かる。(中略)片思いはこっけいに見える。相思相愛は面白くもなんともない。上手に凧を大空に泳がせている子供からはおかしみはうまれてはこない。ところが、木に凧を絡ませてしまった子供にはおかしみが漂う。」  ~「人生はむなしいもの。最後にあるのは敗北なのだ。名声ははかなく、憂鬱ばかりがいつまでも続く。誉れは勝利にあるのではなく、失敗するとわかっていながらも挑戦することにある。」(本文より)

 これぞ、“ザ・アメリカ”。  アメリカの良心と神経症が同時に感じられる一冊である。

『グッド・グリーフ~チャールズ・M・シュルツと「ピーナッツ」の世界』リタ・グリムズリィ・ジョンスン著、越智道雄監訳(リブロポート刊)(絶版) ふんどし度★★

2010.06.25 | コメント(0) | トラックバック(0) | 書評・ふんどし本の世界

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プロフィール

中丸謙一朗

Author:中丸謙一朗
職業:編集者・コラムニスト
1963年生まれ、横浜市出身。立教大学経済学部卒。1987年、マガジンハウス入社。『ポパイ』『ガリバー』『ブルータス』などで編集を手がけた後、独立。著書に『大物講座』(講談社)、『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社・扶桑社文庫)、『車輪の上』(エイ出版)、漫画原作『心理捜査官・草薙葵』(集英社コミックス)など。編著多数。

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