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あるおかんの長話

 真っ昼間、うちの70過ぎのおかんから「あんただいじょうぶなのか、なんで電話しないんだ!」と、すっとんきょうな声で電話がかかってきた。

 しばらく話をするのだが、どうも会話が噛み合わない。「あらま、とうとうぼけたか」と一瞬緊張するが、話のところどころが微妙に「合って」いるから、なかなか判断がつかない。

 心を落ち着かせ、「ギャーギャー言っている割には話の展開がもたもたとした」年寄りの話をゆっくり聞いていると、やっと事情が飲み込めた。

 どうやらうちのおかんは、昨日、振り込め詐欺のあんちゃん相手に40分も話をしたというのだ。

 「いやあ、すっかりあんただと思ってねえ」と、おかん。

 「そんだけ話をすりゃ、自分の息子じゃないっていうぐらいわかるだろ」と思うのだが、おかんは、いつも相手の話は適当で、一方的にまくし立てる感じで話をするから、相手が誰でも同じという状態だったのかもしれない。

 さらに、ちょうどタイミングの悪いことに、先月、私は「声帯ポリープ」になり、嗄れた声でおかんに電話をしていた。だから、今回の振り込め詐欺のあんちゃんに対するうちのおかんの第一声は「あら、あんたまだ声治ってないのね」だったらしい。

 「もう、今は声は普通になっとるちゅーに。何日か前に電話しただろうが」と、私は声を荒げるが、相変わらずギャーギャーとまくしたてるおかんには、まるで意味なしおさん。

 「で、なんか実害あったんか? まさか金なんか振り込んでねーだろうな」と聞くと、「なんで私があんたに金なんか振り込まなきゃいけないのよ。冗談じゃない」と、即答。

 その筋じゃ有名な手口らしいが、何でもその長話の途中で、振り込め詐欺のあんちゃんが、偽のおかん(つまり、うちのおかん)に向かい「おれさ、携帯電話がさ、壊れちゃってさ。新しいのに変えたから、今から番号言うね。090の……」  「いいや、いいって。別にあんたの携帯にかけることないから」(バッサリ)  ……という顛末であったらしい。

 しかし、勝手に人の名を語る振り込め詐欺のあんちゃんの行動は許し難いし、このご時世、何とも物騒な話だと緊張もするが、それにしても40分も長話をしていたのが、間抜けだ。

 「いったい、そんなに長い間何を話してたんだ」と聞くと、「今度の法事のことだとか、この前行った旅行のことだとかいろいろとしゃべってたけど、忘れた」と、おかんは言う。

 何なんだ、その振り込め詐欺。実の息子でさえストレスたまるというのに、うちのおかんと長話して楽しいんか。「脈」がないと思ったらせめて10分ぐらいで切れよ。

 いやいや、その執念が怖い。

 おかんは、「えーっ、あんたじゃなかったの」と一応驚いてはいたが、結局最後はこの「事件」をものすごくおもしろがっていた。「話すと長くなるんだけどね」と前置きをしながら、近所のおばさんにしゃべりまくってるらしい。

 こういう「喧伝」というか口コミが、少しでも、卑劣な振り込め詐欺の撲滅に役立つのなら、おかんの長話にも意味が出る。

 いや、まったく、世の中どうなってるんだ。

 ↓  渡瀬恒彦も体験の振り込め詐欺 「携帯番号換え」など手口は進化


 

2010.07.01 | コメント(0) | トラックバック(0) | マンガ的!

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プロフィール

中丸謙一朗

Author:中丸謙一朗
職業:編集者・コラムニスト
1963年生まれ、横浜市出身。立教大学経済学部卒。1987年、マガジンハウス入社。『ポパイ』『ガリバー』『ブルータス』などで編集を手がけた後、独立。著書に『大物講座』(講談社)、『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社・扶桑社文庫)、『車輪の上』(エイ出版)、漫画原作『心理捜査官・草薙葵』(集英社コミックス)など。編著多数。

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