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かっこわるい人

 今、かっこわるい人って、どこにいるのだろうか。そこにいるだろ、それはそんなこと考えてるおまえじゃねーか、というツッコミはあるとは思うが、とりあえず、そこは棚に上げといて、ちょっとまじめに考えてみる。

 「クール」とか「やばい」とか「かっけー」とか、「かっこいい」ことに対していろんな言い方があるとは思うが、今は人に対して小学生でさえそのようなことを言う。

 昔はそんなにかっこいい人がいなかった。だから、いわゆるスターとか芸能人とかモデルとかの存在意味も今よりもあったし、また「芸能人みたい」とか「モデルさんみたい」と言う表現にも言葉としての意味があったような気がする。

 逆の言い方をすると、自分の親や学校の先生や同じ部活のチームメイトとか、いわゆるそこらへんにある「普通」が「かっこわるい」状態だったので、自分の「かっこわるさ」に対しても鈍感であったし、頭抜けた「かっこよさ」に対しても今ほどどん欲ではなかったような気がする。

 「かっこいい」とか「かっこわるい」とかは、それはそれなりに思春期の頃には大事なことだったけど、ただ単に「容姿を問う」ということは、それ自体、スペシャルなことであって、とりあえず十人並みの容姿をしていれば問題ない、そんなことを考えるひまがあったら勉強しろとか、洗い物ぐらい片付けろとか、オナニーばっかりするな、というのが街や教室の空気だったように思う。

 そして、町にはじゃがいもみたいなおじさんとか鬼瓦みたいなおばさんがいっぱいいたし、じゃがいもみたいなおじさんはとびきりおいしいコロッケを揚げ、鬼瓦みたいなおばさんはいつも陽気にきゅうりを新聞紙に包んでいた。
 テレビの中でも、容姿以外のちゃんとしたひとつの才能を認められた様々な人が出演していて、そういう人たちはどちらかというと、女優さんや歌手ではないので、容姿は「問われない」というのが、普通のことであった。

 そして、時代は変わった。

 若きイケメンイタリアンシェフ。美人過ぎる政治家。二枚目さわやか新人投手。

 今、テレビで多くの「かっこいい」美男美女が活躍している。

 でも、やっぱり、この「かっこいい」ということと、その能力との関係はないはずだ。能力もさることながら、何となく見た目の感じがいいから世論がさらにそれを支持しているという論理的な手順を、もう一度きちんと確認しておかないとややこしい世の中になる。

 もう少し前のことになるけど、政治家の亀井静香氏が小泉純一郎元首相と郵政選挙で対決した時、「向こうは見栄えがいいけど、俺はこんな顔だから損してる」と、さんざん愚痴をこぼしていた。

 いつからの流れかはよくわからないが、この「かっこよさ」の暴走はたぶん止まっていない。テレビに出る人、写る人はスタイリッシュでなければならない。絵柄が大事だとか場持ちがするとか、そんな言説がかまびすしい。

 だが、そろそろ、そういう「一億総プロデューサー的」呪縛からは、解き放たれるべきだ。

 政治の世界でもスポーツの世界でもエンタメの世界でも、もっとかっこわるい人を探せ! ダメで食えないが本当の実力を持っている男や女の能力を世間にさらせ! そんな空気が起こり始めているような気がする。

 見た目がいいものがすべておいしいものではない。レインボーカラーの味噌汁はどう考えたって飲みたくないし、器だけすごくても不味い鮨は不味い鮨だ。

 自民党のおてもやん、石破茂先生は、失礼だが、けっしてハンサムとは言えない。だが、そのことと彼の政治家としての実力や能力とはまた別の話である。

(私は政治や経済を評論する立場にはないが、あえて言わせていただければ、私は彼に個人的に期待している。世間の人はどのように見ているかは微妙だが、あのいっちゃった目は真剣の証だと思うし、あの「人を論破しながらポッとほっぺを赤く染める」血行の良さは、私には善人の相に見える。カラオケの十八番がキャンディーズときたら、もはや40オーバーのおたくの心はわしづかみである。)

 かっこいい人や美人は街に溢れている。

 日本におてもやん(的)内閣が生まれた瞬間に、確実にこの国の美意識は変わる。

「かっこいい」「かっこわるい」は元々が曖昧な基準だ。

 だから、たった今、かっこわるい人が社会を、そして日本を変えていく。

2011.01.21 | コメント(0) | トラックバック(0) | マンガ的!

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プロフィール

中丸謙一朗

Author:中丸謙一朗
職業:編集者・コラムニスト
1963年生まれ、横浜市出身。立教大学経済学部卒。1987年、マガジンハウス入社。『ポパイ』『ガリバー』『ブルータス』などで編集を手がけた後、独立。著書に『大物講座』(講談社)、『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社・扶桑社文庫)、『車輪の上』(エイ出版)、漫画原作『心理捜査官・草薙葵』(集英社コミックス)など。編著多数。

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