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越前竹人形

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 竹の精のように美しい妻玉枝と、彼女の上に亡き母の面影を見出し、母親としての愛情を求める竹細工師・喜助との、はかない愛の姿を越前の竹林を背景に描いた水上勉の代表的名作、それが『越前竹人形』だ。

 今回、ふらりと北陸へ旅だったもうひとつの理由が、この『越前竹人形』の世界を感じてみることだった。

 あんなに「ださいもの」として嫌っていたはずの「地方性」だったり「民芸的感性」みたいなものが、ある作家の手にかかると、何とも「艶っぽい」作品世界に生まれ変わり、私を魅了した。

 玉枝が居た芦原温泉に宿を取り、丸岡にある越前竹人形の里に行った。

 そして、廉価の竹人形を買った。土産ではなく自分自身にだ。

 東京に戻り、デスクの上にあるランディ・ジョンソンのフィギュアの隣に置いてみた。ものすごい違和感。どっちを選ぶか、完全なるクロスロード……。

 今までロックだ、ジム・モリソンだ、アメリカン・ポップだ、なんだかんだと言っていたが、どうも最近、ロックの「スクリーミング(叫ぶ)感」やアメリカン・ポップの大仰なパフォーマンスの世界みたいなものについていけず、どっちかというと、民芸調あふれる文学の世界の方がしっくりいく……。

 まだヤンキースのユニフォームを着ているランディ・ジョンソンのフィギュアはデスク上の一線を退き、今はその位置に竹人形の少女が鎮座している。

 いつまでそこにいるのかはわからない。

 でも、たまにはこういうのもありかなと、黙って見つめる。



雁の寺・越前竹人形 (新潮文庫)雁の寺・越前竹人形 (新潮文庫)
(1969/03)
水上 勉

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2009.10.28 | マンガ的!

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プロフィール

中丸謙一朗

Author:中丸謙一朗
職業:編集者・コラムニスト
1963年生まれ、横浜市出身。立教大学経済学部卒。1987年、マガジンハウス入社。『ポパイ』『ガリバー』『ブルータス』などで編集を手がけた後、独立。著書に『大物講座』(講談社)、『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社・扶桑社文庫)、『車輪の上』(エイ出版)、漫画原作『心理捜査官・草薙葵』(集英社コミックス)など。編著多数。

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