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唐突とサプライズ

 「個人的な心情と言われれば分からないでもない。でも世間がどう見るか。介護も唐突な感じがしました」

 これは今日(10/28)の日刊スポーツに載ったサンミュージックのある社員の言葉だ。

 コメント自体は、重役である相沢副社長がのりぴーに支援の手を差し伸べたことに対する複雑な心境を明かしたものだが、私はそのコメントの後半の「唐突」という言葉に反応した。

 唐突……前ぶれもなくだしぬけに物事を行なって不自然であるさま。

 介護なんて急に何言うんだ。それ、おかしいよ。
 と、「唐突」という言葉は婉曲に語った。

 高校一年の時、現代国語の授業でこの「唐突」という言葉を教わり、クラス中でこの言葉を使うことが流行った。
 薄笑いを浮かべながら、比較的難しいこの言葉を日常会話に混ぜ込むバカバカしさと、まさに「唐突な」感じのする語感の間抜けさが、このブームの背景だったのだと思う。
 そして、何よりも、まだその当時の世の中は規範や逸れてはいけない道筋のようなものが多すぎて、この「唐突」という概念自体が、ものすごくエッジの効いているものだったことが大きい。

 ところが、最近のように人それぞれの「価値観の多様化」とかいうものにまかされるまま、何でもありという状態だと、「唐突」なんて概念自体が存在しないかのように見えるし、仮に近しい状態があったとしても、それは「サプライズ」とか「華麗なる転身」みたいなもので微妙に置き換えられる。

 元風俗ライターが代議士になってもいいし、元アイドルが(なんせ覚醒剤患者になる世の中なので)、罪を償う過程として介護福祉士っていうのもありなんじゃないかという勢いなのである。

 で、冒頭の「唐突じゃないの?」というコメント。

 あら、どうやら世論は変だと思っているようである。

 やはり小泉改革の揺れ戻しか、「サプライズ」が「唐突」に変わろうとしているのか。

 「サプライズ」と「唐突」。

 どっちが真摯な言葉であり、どっちがバカな言葉か、今、改めて考えさせられる。

 では、ハバナイスデイ。

2009.10.28 | マンガ的!

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プロフィール

中丸謙一朗

Author:中丸謙一朗
職業:編集者・コラムニスト
1963年生まれ、横浜市出身。立教大学経済学部卒。1987年、マガジンハウス入社。『ポパイ』『ガリバー』『ブルータス』などで編集を手がけた後、独立。著書に『大物講座』(講談社)、『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社・扶桑社文庫)、『車輪の上』(エイ出版)、漫画原作『心理捜査官・草薙葵』(集英社コミックス)など。編著多数。

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