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「眼病み女」に「老眼男子」

 眼鏡屋に行った。レンズの入れ替えをしてもらった。

 メガネ男子とかメガネ女子が流行っているらしい。そういう類の人が集まるイベントの告知なども、なぜか知らないが(笑)、よくうちに回ってくる。
 たしかに、ひと頃よりメガネをかけている女子が増えたと思うし、また、素通しのメガネなども、今や当たり前のファッションアイテムなのかもしれない。

 しかし、このメガネ問題に関してこう思う。その本人が「メガネをかけていること」を意識した瞬間に「萌え感」は揮発する、と。

 「女の眼病みは色っぽいもんだ。そうやって紅絹(もみ)の布で眼を拭いているところなんぞ、つい、むらむらとしてくるからな」
(平岩弓枝「倉の中」『御宿かわせみ』文春文庫)~参考文献/『使ってみたい武士の日本語』野火迅著、草思社刊

 昔から、目が悪い女性に関する「萌え」の意識は確立されていて、それは別段新しいものではない。ただ、それはファッションアイテムとしてのメガネうんぬんという話ではなく、「そうやって紅絹(もみ)の布で眼を拭いているところなんぞ」というように、目の悪い女性の涙で湿りがちのうるんだ眼や、文字通りの少しピントが外れた「無防備」な仕草に、男は反応していたのである。

 だからメガネがかかってりゃ何でもいいんじゃなくて、実はその反対、メガネしてないから歯ブラシ鼻の穴に突っ込んじゃった、みたいな、当人の意識しない「天然感」にこそ色気を感じる。

 私の場合、近年急激に目が悪くなり、クルマの運転に必要なのでかけているが、世の中全部見えればいいかというとそうでもないわけで、酒を飲んでいる時など、うっとうしくなってはずしてしまう。つまり、メガネやクリアな視界、もっと言えばそれを見ている他人の目なんぞはどうでもよく、極力「意識」したくないわけである。

 幸い、メガネ外して酔っぱらってても、箸置きに醤油かけて食うほどは悪くないので、大した問題もおきないが、仕事柄ものすごく細かい文字の校正をする時なんぞは、もう死活問題。これは、メガネ男子やメガネ女子がテーマにしているところの近眼問題ではなく、老眼の問題。毎回のレンズ調整もこのせい。つまり、意識したくないと言いながらも、いちいち気になっているのである。
 私の知り合いはたまにメガネをかけているのを忘れてメガネの上から顔を洗おうとすると言っていたが、私はまだ、その境地に達したことはない。

 人間の視界は衰え、いずれメガネをかけるようになる。

 「眼病み女」に「老眼男子」。

 イベントになんかしなくてもいい。
 無防備なことがコントを生み、意識をしないことに色気が生まれる。

 年齢を重ねれば重ねるほど、そういう人に私はなりたい。

 では、ハバナイスデイ。


2009.11.21 | コメント(0) | トラックバック(0) | マンガ的!

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プロフィール

中丸謙一朗

Author:中丸謙一朗
職業:編集者・コラムニスト
1963年生まれ、横浜市出身。立教大学経済学部卒。1987年、マガジンハウス入社。『ポパイ』『ガリバー』『ブルータス』などで編集を手がけた後、独立。著書に『大物講座』(講談社)、『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社・扶桑社文庫)、『車輪の上』(エイ出版)、漫画原作『心理捜査官・草薙葵』(集英社コミックス)など。編著多数。

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