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物件

 今、訳あって賃貸物件を探しているのだが、半ばあきれるようにこう思う。

「よくこんな物件、人に貸そうとするなあ、って……」

 まあ、家賃けちって探してるからしょうがないのかもしれないけど、それにしても「借り主」をなめている。持ってりゃいいってもんじゃないだろ、絶対……。

 この蒸し暑い東京でエアコンが一台もない2DK(なぜか意味もなくほこりだらけの20年ぐらい前の壁掛け式空気清浄機が着いている)。駅前ってことで妙に「上から目線」で、築43年なのに一切リフォームする気のない一軒家。リビングの窓を開けたら目の前50センチでマンション建設工事中の物件。

 まだまだある。
 どう考えても導線おかしいバスルーム(洗面台に行くのにいちいち風呂釜をまたいでいかなければいけない)とか、洗濯機の隣に設置されている便器とか(絵が笑える)……。

 あ、あと、子供用のポケモン自転車しか置けなさそうな自称“駐車場”(一万円)。

 ある日見た空き物件。
 というより、もはや廃屋として朽ちている原っぱのテラスハウス(小屋)。
 そのあまりにもいいかげんな佇まいに、立ち会いの不動産会社の人に、ほんとにこの物件、誰かの持ち物なんですか? と思わず聞いてしまった。
 
 ほったらかされている家は泣いている。

 たとえトンチンカンな間取りでもそこに人がいれば、家は息づき始める。

 固定資産税だとか何だとか大家さん側の事情はよく知らないけど、あまりひどい物件の場合、礼金の「礼」は借りる方に支払われてもいいのではないかと思う。

 「借りてくれてありがとう。人のぬくもりが家を生き返らせる」って。

 ……ばいばい。


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2009.12.09 | コメント(0) | トラックバック(0) | マンガ的!

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プロフィール

中丸謙一朗

Author:中丸謙一朗
職業:編集者・コラムニスト
1963年生まれ、横浜市出身。立教大学経済学部卒。1987年、マガジンハウス入社。『ポパイ』『ガリバー』『ブルータス』などで編集を手がけた後、独立。著書に『大物講座』(講談社)、『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社・扶桑社文庫)、『車輪の上』(エイ出版)、漫画原作『心理捜査官・草薙葵』(集英社コミックス)など。編著多数。

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