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胃カメラと芸術の森

 以前、北海道でこんな看板を見つけ、思わず立ち止まってしまいました。

芸術の森泌尿器科


 「芸術の森泌尿器科」。

 いったい芸術と泌尿器に何の関係があるのか。

 もしかしたら、このお医者さんは、医師免許を取る前か後かに美大かなんかを出ていて、医療にものすごくアーティスティックなものを取り入れているのか。

 部屋中にはサイケデリックカラーのペイントウォールや意味合いのいたって芸術的なオブジェが立ち並び、医療技術もさることながら、ものすごく前衛的で美的な医療行為が行われている。
 主人公である医師は、サルバドール・ダリのようなナイスキャラの人物で、そのエキセントリックでどこかコミカルな言動に近所の小学生たちは大はしゃぎ。ある日、町で事件が起こり、そこに居合わせたダリ先生は……。

 ほとんどマンガの原作の世界。

 「尿道にオブジェ……」と、私は2分ほど考え込みました。


 昨日、私は20年ぶりに胃カメラを飲みました。

 20年前にものすごい苦しみを味わった覚えがあるので、わざわざ知り合いの医者を頼り、横須賀まで行ったのでした。

 胃カメラがスタンバイした診療台に寝かされました。
 まな板の上の鯉。私はふと「芸術の森」の看板を思い出しました。

 最近の胃カメラの技術革新はすごい。胃の中にカメラを通してしまうという医療の芸術的なまでの発展をこの目で確かめてやろうと思いました。

 しかし、気持ちとはうらはら。
 私の身体は固くなり、思いっきりこわばっていたのでした。

 知り合いの医師は、その子羊並みの「怯え」を理解したのか、
「あなたのような大柄で力の強い人が苦しいんですよね。鎮静剤打ちましょうか。楽になりますから」と言いました。
 
 「はい、お願いします」。ああ、芸術の森……。

 気がつくとベッドの上で一時間半が過ぎていました。

 お医者さんは私を見つめ、「あっという間におちましたね(笑)」と言いました。

 その言葉は芸術的と言うより、どこか文学的でした。

 「芸術の森泌尿器科」に関する私の疑問は案外簡単に解けました。
 あたりを見渡すと答えがありました。何のことはない。その辺の地名が「芸術の森」という地域なのでした。なーんだ。

 やはり、医療とはサイケデリックなマンガ的世界なのではなく、リアルで真摯な行為なのだと、改めて思いました。

 では、ハバナイスデイ。



2009.04.18 | マンガ的!

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プロフィール

中丸謙一朗

Author:中丸謙一朗
職業:編集者・コラムニスト
1963年生まれ、横浜市出身。立教大学経済学部卒。1987年、マガジンハウス入社。『ポパイ』『ガリバー』『ブルータス』などで編集を手がけた後、独立。著書に『大物講座』(講談社)、『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社・扶桑社文庫)、『車輪の上』(エイ出版)、漫画原作『心理捜査官・草薙葵』(集英社コミックス)など。編著多数。

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