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四つ辻で睨み合う男と女

 阿佐ヶ谷の路地裏を歩いていたら、自転車に乗った40代後半の化粧の濃いど派手なおばちゃんと出前用のバイクに乗った50過ぎぐらいのおじちゃんが四つ辻で出会い頭に接触した。

 おばちゃんはキャッと小さな悲鳴を上げ、何事かと私を含む周囲の人間が注目が集まったが、幸い接触自体はたいしたことなく、互いの乗り物の前部をガシャンとぶつけあっただけで、転倒することもなく「事」は終わった。かに見えた……。

 ふたりは黙ってにらみ合ったまま動かない。
 どちらもまったく謝らない。
 謝った方が負けだと言わんばかりの、緊張の「立ち会い」である。

 約5秒後、双方から微かに漏れ聞こえる舌打ちの音ともに、双方解散となった。

 あきれた……。

 みんなほんとに謝らない。いつからこういうことになったのか……。

 何となくでいいから、謝りゃいいじゃんか。ぴょこっと頭下げるとか、「すんまへん」とか「すいませ~ん、きゃっ」とか「トゥース」とか。

 そうじゃないと、きゅんとくるような出会いも生まれないじゃん。

 レディファーストでも、バイクと自転車との違いでも何でもいい。信号のない、人も自転車もバイクもごっちゃに通る細い路地なのでどちらかがあきらかに悪いというわけではない。歩行中の私の後方約1メートルでの出来事なので、私だって危うく巻き込まれるところだった。要は、みんなが「気をつけて」通行すればいい、それだけの話なのだ。

 一切、自分の非を認めずに四つ辻で睨み合う男と女。

 あそこまで譲り合わないと世の中マンガだ。

 人々は「謝罪」を忘れ、「糾弾」の機会を待つ。公共に放たれるアナログな言葉は「言質」となり、人々の生のふれあいは「接触」と呼ばれる。
 
 コミュニケーションはデジタルの世界でのみ増殖し、「ゆる~い」という掛け声の元時折放たれる「偽善的な一体感」や「根っこのない許し合いの言葉」が、過去ログとして葬り去られる時を待っている。

 この場合ジャンルは、コメディというより、もちろんSFである。

2009.12.17 | コメント(0) | トラックバック(0) | マンガ的!

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プロフィール

中丸謙一朗

Author:中丸謙一朗
職業:編集者・コラムニスト
1963年生まれ、横浜市出身。立教大学経済学部卒。1987年、マガジンハウス入社。『ポパイ』『ガリバー』『ブルータス』などで編集を手がけた後、独立。著書に『大物講座』(講談社)、『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社・扶桑社文庫)、『車輪の上』(エイ出版)、漫画原作『心理捜査官・草薙葵』(集英社コミックス)など。編著多数。

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